サクラ大戦・紐育ショウ2014(8/29、31昼夜)に行ってきた

季刊どころか半年以上経ってるじゃねーかよ、HAHAHA(笑い事ではない)。途中まで書いた記事は何本もあるのですが、書きあがっていないというのが実情でございます。この記事も、3ヶ月前に大体書いてあったのを、まとめあげたものです。

筆不精ならぬブログ不精となっているあたくしですが、今回の紐育組のショウについては、色々と思うところがありましたので、きっちり書き残しておこうと思った所存。その思ったことは最後にまとめますので、まずは普通に公演の感想から。

今回の公演の正式名称は「サクラ大戦 紐育星組ショウ2014 ~お楽しみはこれからだ~ 」です。8/29から31までの3日間、計5公演。06、07、08、11、12、13年に続き、7回目の紐育星組単独公演となります。紐育星組の説明はいいよね?ドリームキャスト用ソフト「サクラ大戦V~さらば愛しき人よ~」で登場した、帝都・巴里に続く、3番目の華撃団ですよっと(欧州星組はどうしたとかいうのは禁止)。

時代はトーキー映画が世を賑わせ始めた時代。劇場オーナーのサニーは株式投資に失敗し、破産寸前の財務状況に。そんな折、サジータが顧問弁護士を務める映画プロデューサー、ロニー・ハート(豊口めぐみ)が、高待遇でジェミニをトーキー映画に出したいと言ってくる。サジータはチャンスだと積極的だが、ダイアナはお金のために歌やダンスをやるのは間違っていると憤りケンカに。一攫千金を果たしたベロムーチョが、あやしげな発明品を持った科学者ガッツ・ノートン(岸祐二)を連れてきて、例によって双葉が首を突っ込み…というあたりが今回のあらすじ。

正直、今回の脚本については、あんまり褒めるところがない(苦笑)。メインのテーマになってるのは「お金」。ロニーは金こそが何より大事というリアリスト、ガッツも億万長者になるために発明に情熱を捧げる人、そして一攫千金を果たしたベロも金を更に増やすことに邁進していると、とにかく「金、金…」いう人が一杯いる中、「そうじゃない、情熱こそが大事なんだ!」という、ある意味サクラらしい、紐育らしい流れではあるんだけどね。

いかんせん、ロニー周りの展開が唐突すぎるし、なんであれで「情熱こそが大事」という考えに転換するのか、正直理解できない。というか、ベロは何のために映画会社なんか買ったのよ…。仮にロニーが雇われ社長だったとしても、ロニーの手腕で金を生み出してる以上、放り出されるとは思わないしなぁ。まぁ、そこは「ベロだから」で済ますこともできるけど、なんか納得いかんのですよ。

ちなみに、史実的なことをいうと、今回のサブタイトルの元になっている、初期のトーキーヒット作「Jazz Singer」は1927年の公開(サクラ的にいうと、太正16年)。そして、劇中でラチェットが新次郎を誘っている、世界初の完全トーキー映画「Lights of New York」は1928年(同太正17年)。ちなみに、ゲームのサクラVは1928年の物語なので、ゲームの状況とはあわないのですが、まぁそこは気にしないw

割と色々不満げなことは書いておりますが、ショウとしては非常に楽しめていて、ものっそい見てよかったなーとは思っているのです。

さて、そこで冒頭にいっていた「思うところ」というものですが、ありていに言ってしまうと、またサクラ大戦というコンテンツの終焉が迫ってきたなということです。

今回のショウの中で、色々「ん」と思うことがありました。前述のようにテーマが「お金」というのもある意味で象徴していますし、毎度御馴染みの3分間ショッピングで、特定の商品をあからさまに購入要請をしたり、サニーの楽の挨拶でも、次の幕を開けるには皆さん(観客)の多大なる協力が必要だ的な発言をしたり、かなり厳しい立場にあるのであろうということは、端々から感じ取ることができました。

個人的に、おそらく次の予定はまったく立ってないだろうと、確信に至った点は2点で、シリーズ全体の中でも、節目節目でしか用意されない「さくら」というモチーフが入った曲が登場したこと(紐育のメインモチーフは星であり、基本的に桜が引用されることは余りない)と、楽日の公演で、カーテンコール後に繰り返し幕が開いたことです。それは、自分には、別れを惜しんでいるようにしか見えなかったのです。

何度か書いたことがありますが、サクラ大戦というコンテンツは、今までに何度か終了しています(少なくとも、以降の展開がまったくなくなる、という意味で)。ただ、それをスタッフ、キャスト、観客の情熱により、ひっくり返してきた…いや綺麗ごとはやめよう、3者が少しずつ無理をすることで延命してきたわけです。

残念ながら、最近のサクラ大戦は、ショウはなんとか続いていますが、それ以外の展開はソーシャルゲームが辛うじて動いているのと、コミック展開が若干動いているだけです。正直、ここ5年ほどは、新規が入ってくるのは非常に難しい状況にあると言わざるを得ません。みんなの力で延命はしていますが、それは縮小均衡が続いているだけで、終わりはずっとすぐそこに見えていたのです。

サクラのショウは、どの公演に行っても、顔を知っている方が大勢います。自分はサクラ関係のコミュニティなどには属していないので、知人と呼べるような人はあまりいませんが、それでも顔は知っている人がいっぱいいるのです。それは裏を返せば、いつも同じ人間が見に来ているということです。実際にtwitterのTLなどを見ていても、当たり前のように全公演を見られる方がいっぱいいます。チケット1万円以上するんですけどね。

サクラ大戦は、非常に幸せなコンテンツです。スタッフ、キャスト、観客、みんなに作品愛が溢れていて、盛り上げ方を知っていて、ゲストで登場したキャストの方が口を揃えて「サクラ大戦のお客様は日本一だ」と言ってくれるほどです。それは、究極の身内感とも言えましょう。

今後、サクラ大戦がどうなるのかはわかりません。仮にこのままもう展開が耐えてしまったとしても、十分に楽しんだぞと胸を張って言える自信はあります。でもなぁ、やっぱり、まだ見たいよねぇ…。広井さんも、四谷怪談やりたいって言ってたじゃんかよぅ。まぁ、終わりって言われたわけじゃないから、いつまでも待ってるよ!

DVDが、もうすぐ(12/25)に発売になるので、是非w

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テーマ : ミュージカル
ジャンル : 学問・文化・芸術

「中川かのん starring 東山奈央 2nd Concert Ribbon Illusion」に行ってきた。

2月のイベントラッシュが終わって、割とぐったりしている今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

ゆいかおりとか、巴里花組とかレポート書いてないんだけど、その辺はもう識者に任せることにして、これだけは書いておかないとということで、22日、23日のレポートはちゃんと書くよーということで。まずは、22日のかのんライブ。

「神のみぞ知るセカイ」の登場キャラである中川かのんライブという体のイベントです。2年前の日比谷公会堂のライブ(当時のレポはこちら)。

会場は夢の国併設の舞浜アンフィシアター。昔のシルク・ドゥ・ソレイユシアター東京ですね。ZEDやってたとこ。そういや、ZEDのレポート書いたつもりだったんだけど、書いてなかったんだよね、俺…。

閑話休題。奈央ぼうのライブに話を戻そう。

結論から言うと、奈央ぼうのポテンシャルを見せ付けたいいライブだったと思います。まぁ、ただ、いくつか気になるところはあって、パッケージとした見た完成度という意味では、1stの方が上だったかもという気はちょっとしている。

セットリストの詳細は、公式ページに終演直後にUpされてるので、その辺りを見てもらうとして、ハイライト的に印象に残ったところを中心にご紹介。

ほぼ定時に開始。まず、これまでの中川かのん(としての東山奈央)の活動の歴史を紹介するビデオがプロローグとして流れて、「青春パラダイス」からライブはスタート。奈央ぼうは、奥の小迫りから登場。

ステージ構成は庭園をイメージしたもので、ステージ外周に白い柵が組まれ、左右にポスト(中には水とタオルが入っているw)、庭園のゲート風のアーチが3重に立っているという構造。なんかこう、白い大きな犬を飼ってそうな感じといったら伝わるだろうかw ステージの左右にモニター、背面も全面モニター(というかスクリーンというべきか)。

序盤は2ndアルバム「Colors」中心の選曲で、アニメED(女神篇、II期、I期)3連発からの衣装換え。場をつなぐのはまさかのアポロさん(かのんに憑依してる女神。当然CVは奈央ぼうである)。中川かのん最初のイベントであるUDXイベントの映像が流される。しかし、よくあれだけの人数集まったよなぁっていう…。当時の奈央ぼうはガチのど新人だったわけだし。集まってたのは、かなり練度の高い方々でしたがw

その後は、傘を使った振付の「想いはRain Rain」(リボン柄の傘は私物だそうである)、タップダンス風の振付の「君色ラブソング」が続く。タップシューズできちんと音を鳴らしてたわけではないけど、動きは完全にタップの動きでしたね。レッスンも受けに行ったと言っていたし。

「Birth」の曲を挟んで、2回目の転換は、アニメ映像のダイジェスト。基本的にI期のかのん回のダイジェストなんですが、さすがにキスのカットは抜いてあった。運営空気読んでるw で、7話の会場に戻ってライブに向かうシーンで終了。

気づくと、アンフィシアター名物の巨大迫りが開いていて、そこからなんとピアノとともに奈央ぼうが登場。そのまま、弾き語りで「らぶこーる」を。現場では気づかなかったんですが、よく考えると、7話のあのシーンの直後に歌うのって「らぶこーる」なんですよね。なんか「ハッピークレセント」のイメージが強かったけど。

この弾き語りが最大のハイライトでしたね。1年半かけて練習してきたそうで、本人も演奏終わって感極まってましたが、必死に練習してる様が容易に想像できるので、こちらも目頭が熱く…。1年半の練習なら、十分すぎるレベルの演奏でしたよ(一応ピアノ経験者なので)。まぁ、何より弾き語りをやるということ自体が予想外でびっくりしましたが…。やろうと思うこと自体がすごいよ。

この直後にきたのが、カバーアルバムに収録されていた「愛・覚えていますか」で更にびっくりっていう。オリジナル曲は全部やるだろうと思ってましたが、カバー曲はさすがに抜いてくるだろうと思ってたもので…。でもまぁ、この時点で今日はもう全部やるんだろうなと認識。

バラード系2曲を挟み、最後のアッパー系ゾーンへ。「LOVE KANON」「夏色サプライズ」と一気にぶち上げる。つーか、なんだかんだで、一番コール的に盛り上がるのは、夏色サプライズになってるのが趣き深い。

そして、毎度御馴染み「舞浜、制圧」からの「ハッピークレセント」。なんか、制圧の時点でみんな黄色だったよ。前回までは、制圧はみんなピンクでやってたのになぁw 多色系ペンライトのせいか! いやまぁ、どっちでもいいんだけど、あれっと思った。そして、「ダーリンベイビ」で本編が〆。

アンコールは、カバーアルバム2から「想い出がいっぱい」、年寄り的にはみゆきのOPの御馴染みのアレです。そして、最後のMCを挟み「歩いていくもん」で終了。ソロ名義で音源があるもの全25曲を歌いきりました。

んでまぁ、最後のMCに触れない訳にはいかなくて、ですね…。なんで、言いよどんでるのかは、現場にいた人はわかるだろうけど、彼女の本心の吐露なんだろうけども、言及し辛いとこがあってですな…。

まぁ、意訳すると「かのんちゃんにずっと憧れて頑張ってきたけれど、自分はキラキラ光ることはできなくて、かのんちゃんのようなスタアにはどうしてもなれなかった。頑張っても頑張ってもスタアになれなくて辛かったけど、自分はかのんちゃんの周りの輝く多くの星々のひとつになれればいいんだと思えてからは楽になった」という内容でね。

奈央ぼうにとって、中川かのんは、はじめて取った大きな役で、最初は単純な憧れとしてキャラを置いていたんだろうと思う。ただ、自分自身が声優として実績を積んでいく中で、キャラと自分自身とのギャップに苦しんでいたんだろうなぁと。単純にアニメの役としてだけ演じてるなら、そこまで悩むこともなかったのだろうけど、幸か不幸か中川かのん単独で展開されていたがために、ずっと向き合う形になっていたからこその悩みだったんだろうと。

なんかね、この奈央ぼうの言葉を聞いたときに、頭に浮かんだのはアイマスとサクラ大戦のことでね。アイマスは今やってる劇場版の春香と可奈の関係とまんま相似形だなーと。サクラ大戦については、田中真弓さんや、西原久美子さんが舞台をやるときに、キャラとの外見のギャップにずっと悩んでたということとかね。

声優というのは、まったく違う外見・特徴のキャラを演じることができるのが魅力とは言うけれど、それを実際に舞台やライブとして、声優自身が生身で演じることになったとき、そこに発生するギャップって、多分、外からは想像できないものがあると思うんです(本来声だけで演じているからこそ、ね)。

奈央ぼう自身が、クソがつくくらいに真面目な性格で、しかもどこまでも努力が出来てしまう人なので、本当に想像できないくらいの努力を続けてきたのだろうなと想像すると、なんだか本当に色々こみ上げるものがあってですね…。まぁ、最近涙腺もろいからな、おっさんだし。

この場面で、こんな話をすることには賛否両論はあると思うのだけど、個人的には「言ってくれてありがとう」と思いました。正直なところ、そこまで自分を追い詰めてるとは思ってなかったよ。声優系のライブの場合、ステージを降りるまでキャラを演じ続けるサクラ大戦とかは例外として、作品のイベントやライブでも、声優さんの名前でコールするのが普通なんだよね。このかのんライブに関しては、なんでかみんな「かのんちゃん」としか言わないので、まぁ、その辺も理由のひとつだったのかな、とは。

製作には色々言いたいことはあるんだけどね、PAがタコってたとか、背景の全面モニターが照明に負けてて、ほとんど仕事してなかったこととか、演出は1stの方が練れてたよね、とか。

まぁ、そんな不満点はありつつも、奈央ぼうの頑張りはとてもよく見えて、総合的にはとてもいいライブだったと思います。ただ、最後のMC聞いてもそうだし、実際の展開とかも考えると、次はなさそうだよねぇ…。奈央ぼう自身の立ち位置も、最早1stライブのときとは、全然違ってしまっているし。もし、次があるとすれば、神のみぞ知るセカイという原作展開とは別のところで、CDリリースだけが続いた場合なんだけど、それもちょっと望み薄だし。

何はともあれ、奈央ぼうにはほんとお疲れ様でしたと言いたいです。3/3にかのんちゃん生ラジオがあるけど、なんとかして聞きたいと思ってます(20時開始はめっさ辛いのではあるが…)。

■2014年2月22日(土)舞浜アンフィシアター セットリスト(かのんのおと)

【2/27追記】
そういえば、終演後、声優系ではお馴染みの三本締めの先導を法被組の方が始めたんですが、途中で噛んでへたれるという事態が発生。もう一回コールが巻き起こり、改めてやり直すってことがありました。

なんか、こういう微妙に客側が慣れてない感じとか、この手のライブに参加し始めて20年のおっさんにはしみじみいいなぁと思うわけです。最近はむしろ「俺が俺が」でとにかく他人より早く先導はじめようなんて輩が結構いたりするわけですが、このある意味素朴な客層っていうのは、どっから出てくるんだろうなぁ。

中川かのんというキャラ自体が、80年代アイドルをモデルにしてるところがあるから、ある意味そういうのに惹かれる人は、今のDDなイベンターの人達とは、またちょっと層が違うのかも知れないね。ま、某有名厄介な人とかはおりましたけどもw なんだか、古き良きアイドル現場って感じがして、わたしゃかのんちゃんのライブの雰囲気は大好きです。

テーマ : 声優
ジャンル : アニメ・コミック

扉座ミュージカル「バイトショウ」まもなく開幕!

今週末の厚木公演を皮切りに、劇団扉座のミュージカル「バイトショウ」が開幕します。本当はもっと早く書かなきゃいけなかったんですが、まぁいろいろバタバタしててね…。

気を取り直して、一気にいきますよー。

このブログをご覧になってる方なら、もう扉座の紹介はいいでしょう。創立30周年を越えている、小劇場演劇をメインでやっている老舗劇団です。「相棒」に出演されている六角さんや、山中さんなんかが所属してる劇団ですよ。

扉座は普段、ストレートプレイを中心に公演している劇団ですが、付属の養成所では歌やダンスのレッスンもやっています。実際に、以前、工事現場を舞台にしたミュージカル「ドリル魂」という公演がありましたし、客演が多く入ったものの尾崎亜美楽曲の音楽劇「オリビアを聴きながら」などの公演もこなしてきています。

そして、今回第3弾ともいえるオリジナルミュージカルが上演されるってわけですよ、旦那。

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劇団扉座・第54回公演
ミュージカル『バイトショウ』

【厚木公演】
日時:10/12(土) - 13(日) 全2公演
会場:厚木市文化会館・小ホール

【東京公演】
日時:10/16(水) - 27(日) 全12公演
会場:座・高円寺1

作・演出:横内謙介
音楽監督・作曲・ピアノ演奏:深沢桂子
振付:ラッキィ池田、彩木エリ

出演:
柳瀬大輔、五十嵐可絵(客演)/
中原三千代、有馬自由、犬飼淳治、高橋麻理、鈴木利典、岩本達郎、 
鈴木里沙、上原健太、川西佑佳、新原武、江原由夏、鈴木崇乃、
松本亮、松原海児、比嘉奈津子、早川佳祐、塩屋愛実 / 瀧川駿(客演)

■公演情報ページ(劇団扉座公式)
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上の動画は9/28(土)に行われたプレオープン会見の様子をまとめたものです(まとめたのはわたしじゃありません。半ば劇団公認になってるので、使わせてもらっています)。是非、こいつで雰囲気を感じてください。稽古場で行われたものなので、音響とかは気にするなw

ここからは、そのプレオープン会見で、演奏後に行われた会見の内容を中心にお送りしていきますよー。



まず、最初は劇団主宰であり、この作品の作・演出を手がける横内さんの挨拶から。

横内謙介「やるからには、扉座じゃないとできないものというのをやりたいと思っています。ミュージカルという形式は実際にやってみると、すごくよくできている。『ミュージカルをやりたい』という人がいるというのもわかるなと。でも、我々は(ミュージカルという形式に)憧れてやるのは遅すぎるだろう。だからこそ、ミュージカルだから表現できるものをやろうと。ミュージカルの王道からすると外れているかもしれないが、(台本作業などで)色んな言葉探しをしているときに、台詞よりも歌の方が、人に伝わるものがあるかもしれないなと考えていた。と、こんな想いを込めてやっているわけですが、想いに比して、扉座がミュージカルをやるということに対して、何か疑義があって、じゃあここにお呼びして、味方を増やしたいなと。そういうわけで、今日のことは決して胸に秘めず、スプリンクラーの様に広げてください」

最近ミュージカルばかり書いてると言っていた横内さん。確かに「アトム」を皮切りに「オリビア」があって「幕末ガール」「げんない」があってと、かなりいっぱい書いてますな。とにかく、主張されていたのは、なんか変な憧れでミュージカルやってんじゃないよということですね。

続いて、音楽監督・作曲、その上、全公演でピアノ演奏をするという、深沢さん。

深沢桂子「私は27、28年前に『アイ・ガット・マーマン』でこの世界に入りました。大きなものから小さなものまで、色々とやって、その中で自分の作品が作りたいなと思うようになりました。2000年に2人だけの劇団を作り、そこからオリジナル作りにはまりました。扉座と横内さんとやってうれしいのは、一番伝えたいことを、音楽の力を信じて書いてくれること。他の先生方の場合、一番大事なことは台詞にのせるんです。だから、台詞で言って、同じことを歌で歌うことになる。日本のオリジナル作品はそういう作品が多いんです。この作品は自分で言うのもなんですが、良い曲が揃っています。その音楽の力と扉座の演技の力が噛み合って、すごくいい作品ができています。自分も少しだけ役者として参加していますが、それもすごく意味のある形になっています。この作品はバイト生活で頑張っている若い人に、ひとりでも多く見てもらいたい」

『アイ・ガット・マーマン』は宮本亜門さんの演出デビュー作品として有名ですね(1987年)。3人の女優と2台のピアノで、ミュージカル女優エセル・マーマンの生涯を描いた作品です。バイトショウに関しては「とにかく見ろ!」という力強いお言葉をいただいた印象です。

続いて、キャストの皆様から一言ずつ。

柳瀬大輔「(横内作品は)オリビアについで2作品目です。扉座ミュージカルで楽しみなのはとにかく演技が濃いということ。自分は今まで、ミュージカルは台本をこなして、振付をしっかりやるというのを目標にやってきたが、扉座の人達は台本をやる以上に、いかに人間力を発揮して濃くしていくかというのをやっている」

劇団四季ファンならご存知の方も多いんじゃないですかね。あんまり見ない自分でも『ジーザス・クライスト・スーパースター』のイメージあったりしますもん…。とにかく、圧倒的な声ですね。横内さんから「本来なら四季退団して、東宝作品とか行くような人なのに、むしろそっちはいいかなとか思っちゃう人だから」とか言われてましたが(苦笑)。

有馬自由「ミュージカルというのは周りに馴染みがないものだったが、お芝居は楽しいです。音楽がいいんですよ、ほんと楽しいし。踊りについては言及する立場にありませんが。舞台作品として楽しいので、そのまま伝わればいいなと」

中間管理職役をやらせたら右に出るものはいない(と勝手に思っている)有馬さんです(すいません)。扉座は養成所があって、そこでは歌とダンスがんがんやってるわけですが、養成所より前から所属してる人達は、歌・ダンスはあんまやってないのですね。だから、こんな感じの発言になったりしておりますw

五十嵐可絵「あまり、こういう話をするのが得意ではないのですが…。元々、扉座のファンでして、ここでこうやっているのもなんだか信じられないような気持ちがまだしています」

五十嵐さんも四季出身の方ですねー。この人も本来なら、ミュージカルのメインストリームを歩んでいておかしくない人なんですが、わらび座「アトム」に出会い、こっちの方が面白いと、旅公演とか坊っちゃん劇場とか言ってしまった方です。歌も演技もスバラなのです。

高橋麻理「ミュージカルに憧れる立場ではなかったのですが、オリビアに次いで2作品目となりました。オリビアのときは劇団員が半分くらいで、今回は劇団員いっぱいですが、ミュージカルに憧れる人がやっていると思われたくないねと思ってます」

マイペースというか独特なところがあるのが麻理さんです。実際のところ、この考えはみんなに共通してる本音なんじゃないかなという気はします。それをばっと言っちゃうところが麻理さんですが。

鈴木里沙「ピーターパンを6年やって思ったことは、音楽の力というものをすごく感じて。今回すごいなと思うのは全部生演奏だという。この辺は予算の問題とかもあって、ちゃんと予算があれば、生演奏なんですけど、ピーターパンは残念ながらカラオケでした。そうすると、カラオケのタイミングで歌うことになる。生だと、自分のタイミングで歌える。桂子さんとの呼吸で歌うというのがとてもうれしいです。今日はまだまだいけるという感覚でしたが、本番ではもっともっといいものをお見せしたいです。扉座がお送りするバイトショウをお見せしたいと思いますので」

扉座の誇るミュージカル役者その1。ピーターパンってのは、榊原郁恵さんとかがやられてたあのピーターパンです。里沙さんは単純な役者というより、コメディエンヌ的な印象が強かったりするんですよね。空気のつかみ方というか、間の取り方というか、その辺すごいと思っています。

岩本達郎「アトムと幕末ガールで360回くらい、ミュージカルの舞台に立たせていただいて、扉座公演出るのは2年ぶりくらいになります。久々に戻ってきたら、たまたま作品がミュージカルということで、学んできたことをお見せしたいと思います」

わらび座『アトム』、坊っちゃん劇場『幕末ガール』と長らく遠征が続いてガンちゃんこと岩本さん。動きは独特な人なんですけど、結構しっかり歌も踊りもできるようになってますよね。なんかサクラ大戦の頃に茅野イサムさんから「なんか動きがヘンなんだよなぁ…」とか言われてたのを思い出します(苦笑)。

ここから、質疑応答です。


「オリビアのときに『日本製のミュージカルでなかなかいいものに出会えない。でもこれ(オリビア)は是非再演したい』という発言があったんですが、今回どう思われたか」

柳瀬「確実に面白いものになると思いますし。今回はThat's musicalみたいな曲もあるし、扉座の皆さんとがっつり芝居するんだと思って来たら、ミュージカルスターの役もやるんだみたいな。まだ課題があるので、今すぐ見てくださいとはいえないのですが、あと二週間あるのでいいものにしたい」

なんか劇中で「美女とケダモノ」とかいう作品をやってますねw 割と結構メタな内容が含まれていたりします、はい。


「この人はミュージカルに合うんじゃないか」という人を推薦してください」

みんなが口々にあげたのが犬飼淳治さん。「やっぱり犬飼さんがすごい。ダンスとかすごくエモーションを感じる」とのこと。犬飼さんコメントを求められ「肩と背中が上がらない」とのことでしたw


「ミュージカルではキャッチーなミュージカルナンバーがあるとすごく印象が強くなりますが、何かそういう曲はありますか」

深沢「バイトショウというタイトル曲があるので、それを」

進行表を見る限りでは、序盤の方で歌われて、後半でリプライズされるようですよ。そして、ここで江原由夏さんからお言葉。

江原「数日(1日でしたっけ?)後追いで稽古に参加したんですが、合流した時には、すでに7曲終わっていて、実際聞いてみたら、とてもすっと入ってくる曲が多くて、しかも全部ちゃんとタイプが違う曲ですごいなと思いました」

という感じで、江原さんから音楽大プッシュ。全部で20曲だそうですが、みんなちゃんと違う曲になってるよというのは、何度か繰り返し語られてましたね。


「DVDやCDの予定は」

横内「これからの盛り上がり次第ということで」


「チラシに書かれているダサクールなNY形式っていう言葉がすごくきになっているんですが」

横内「こういうピアノ伴奏でやるような形式をクラブ形式と呼ぶらしいと聞いて、それは格好いいかなと。それを踏まえてイメージとしてNY形式という書き方をした」



一応、質疑応答はここまでで、最後に締めというか、横内さんから爆弾発言がw

横内「まだ、誰も知りませんが。自分も全公演に出演します。以前横浜中華街で相談したんだけど、深沢さんに役者として出てくださいとお願いしました(深沢さんから「1行かと思ったら半ページとかも台詞があって」)。
じゃあ自分も出ます。ひとりにはしません約束しました」

というわけで、横内さんも出演されるそうです。本当に出演者誰にも言っていなかったようで、むしろ出演者の方が驚いているという有様w 数日前にようやくその演出が入ったらしいですよ?

というわけで、いよいよ今週末から始まる『バイトショウ』。半端なものでなく、ガチで取り組んでいる模様。このプレビューで何曲か聞かせていただいたところでは、扉座作品らしい、生々しさ、人間くささが満ちている作品になっている予感がします。

是非、皆さん劇場へ!



(左)深沢さん (右)横内さん劇団員役の方々バイトショウ集合写真

テーマ : 演劇・劇団
ジャンル : 学問・文化・芸術

「舞台ドリームクラブ」(8/17 16時)に行ってきた。

アイマス関連の記事はちょっと置いておいて、先週末行われたドリクラ舞台の話です。

会場はラゾーナ川崎の5階にある「プラザソル」200席弱の小劇場として使えるスペースですな。6公演のうち、17日の16時の回に行ってきました。

まぁ、このブログ見てる人なら説明もいらないだろうけど…。「ドリームクラブ(DREAM(C)CLUB)」は、XBOX360版の初代から始まった、ピュアな紳士の社交場、ドリームクラブを舞台にしたギャルゲーのシリーズでございます。発売元はディースリー・パブリッシャー(以下D3P)。

このドリクラが舞台化という、ゲームを知ってる人であればあるほど「お前正気か!?」というような情報が飛び込んできたのが4月。「エイプリルフールから10日も遅れてるぞ、こやつめ」なんて言ってたのが懐かしい。

でだ。オーディションの情報はあったものの、ろくすっぽ中身に関する話が出てこず、断片的に関係者がブログやtwitterで発信する内容しかないような状況で、当日を迎えたわけで…。ただでさえ、うまく舞台化されるイメージができない作品なのに、情報がなく、どんだけ不安な気持ちで劇場に向かったのかはわかっていただけるかと思う。

実際に蓋を開けてみたところ…。うん、びっくりした。よくぞここまで作り上げたと素直に思う作品に仕上がっていました。

とにかく、キャラがしっかり作られていたのが印象的。ドリクラはポリゴンの3Dキャラなわけだけど、ゲームキャラの動きをトレースしているし、しゃべり方や声もキャラとして違和感のないものだった。正直、二次元コンテンツの舞台化作品を見て「再現度がすごい」と思ったのは、宝塚版の「逆転裁判」以来。

まず、開演前の時間帯に、ステージに置かれているソファにホストガールが出てきて、ゲーム内の接客シーンを再現するんだけど、それを見た瞬間に、「あ、これは思った以上にしっかり作ってきてるな」というのを感じました。相方たる主人公がいないので、演者のひとり芝居になるんだけど、ゲーム内のシーンがきちんと再現されてるのね。しかも途中からホストガールが酔っ払った曲に変わり、そっから酔っ払いモードの接客に変わるという…。言葉遣いがおかしくなり、ふらふら揺れてる様は「よくやるなぁ」と思ってしまったくらい。ただ、ドリクラといえば「酒」なのに、酒に関わる部分がこの部分しかなかったのは、ちょっと残念。

本編のストーリーは、ドリームクラブ30周年を記念して、ホストガール総出演のレビュウショウをやろうとオーナー(いつものあの人だ)が言い出し、それにまつわる話を主軸に同時進行で4つの話を描いたもの。

亜麻音・遙華を中心にしたレビュウショウのセンターに関する話、不調に陥ったアイリに関する話、魔璃とあすかに関する話、理保と妹の真琴に関する話の4つの話が、同時並行的に進んでいきます。ホストガールの全員を4つの話に割り振ってるんだけど、その組み合わせは「なるほど」と思わせるもので、キャラ設定とかシナリオとかよく読み込んでるなぁと。

最後にはすべての問題にケリがついて、全員集合してレビュウショウとなるわけですが、曲目はゲームからそのまま引っ張って来ていて(というか、BGMも基本ゲームから持ってきてるし)、「夢見るCaged Bird」「JEWEL」「Time traveler」「ココロのコトバ」「絶対アイドル☆宣言「Pure色100萬$☆」。で、カーテンコールならぬアンコール枠の「恋・KOI☆week end!」。

アンコールのときにさー、「アンコール!アンコール!」って声がステージから聞こえて来て、何かと思ったら、スミス&ウェッスン(遙華の護衛っつーかSP)がステージ上からアンコール煽ってんだよwww あれはなんつーか、とてもずるいものだった(というか、S&W自体が全体的にずるかったけど)。

というわけで、会場の狭さもあり、距離感はまさにキャバレーのショウという風情で、いろんな意味で「ドリームクラブ」を出現させることには成功したのではないかなと思います。

と、ここまでざっくりと素晴らしさについて説いたので、こっからは客観的な、というか芝居好きの目から見たどちらかというとネガティブな要素について、ざざっと書いていきます。

まず、公演についての情報提供。キャラもの芝居としては、かなりいい出来であったこの作品ですが、果たしてターゲットたる原作ゲームファンに情報が届いていただろうか。直近になってもお世辞にも盛り上がっているという雰囲気にはなっていなかったし、(公演主体ではなく、版権許諾を出している側とはいえ)D3Pからの情報提供も特になされなかったように思う。ゲネプロの記事は各ゲーム媒体に掲載されたけど、あれで初めて知ったとか「そういえば」と思い出した人も多かったんじゃないかなぁ。

実際、客席を見ると、積極的に情報提供をしていた出演者のファンだったり、出演者の関係者の方だったり、キャラもの芝居ではなく、出演者目当ての観客が中心であったように感じました。それ自体は小劇場演劇では極普通のことだけど、もっとゲームファンにリーチする方法があったんじゃないのかなというのは強く思います。ドリクラファンでも、どこぞのゲハブログのまとめ記事だけ目にしてるなんて、最悪の状況になってる人も多かったりしないかなーとちょっと心配。

次に、座席配置。凸型のステージで、その出っ張った部分を囲むように座席が置かれていました。この配置だとスステージ両脇の席の人間は、メインステージで行われることが目に入らない。出っ張り作るなら、せめて弧を描く形で席を配置しないと、ステージ上の至るところに死角ができてしまう(実際、ステージの端での演技はわたしゃ見るのあきらめておりましたし)。演劇の座席配置としては、ちょっとありえない形になっておりました。常に突き出した部分でやるキャバレーのショウであるなら、わかるんだけどね。

で、脚本。これはキャラもの芝居の評価とはアンヴィヴァレンツな部分があるので、あくまで、純粋に芝居の脚本として見たときの評価だということは理解しといてください。

2時間程度の芝居なのに4本の話が並行で進むのはちょっと多すぎるし、実際意味不明になってしまった部分とか、掘り下げが足りなかった部分があった。単に芝居の構成だけ考えるなら、ストーリーは亜麻音・遙華の話をメインに、理保・真琴の話をサブにして、がっつり掘り下げた人間劇にした方がいい芝居にはなる。

ただ、これについては、脚本家も演出家も百も承知でやっているはずです。キャラもの芝居の先駆者であるサクラ大戦について、広井王子氏が語った言葉でこんなのがある。

「主役が8人いる芝居を誰も作りたくない。全員に歌が均等にあって、ほぼ台詞も均等にあるぐらいの舞台って、本来舞台じゃない。芝居にはならないから、ありえないから。8人全員に気を使った演出って誰もやりたくない。全員を輝かせるって、それはお客さんのためなんだけど『お客さんのために』って言ってやれる演出家は少ない。どうしても演出家って自分の色が出るからトラブっちゃう。それを恐れて誰もサクラには触れたがらない」(Webラジオ「狼虎滅却サクラジヲ・こちら甲板通信局」第30回(2010年3月))

ギャルゲーってのは、本来プレイヤーが誰かをヒロインに決めて攻略しているタイプのゲームです。だからこそ、(メイン格のキャラはいたとしても)本来全員が並列の関係で全員が主役なんですな。んで、実際に各キャラにファンも付いていたりする。だからこそ、全部のキャラが主役の扱いでやらにゃいかんという話なんです。

今回のドリクラ舞台、この「すべてのキャラを主役に」ということが、愚直といってもいいレベルで貫かれています。芝居のテンポを多少悪くしてでも、また掘り下げ不足になる部分はあっても、それでもきちんと全員に見せ場を作り、作品としてまとめるということをやってきました。

だから、実際に公演を見た人なら、全キャラについて「ここが良かった」って言えると思います。そんな芝居、作るのは至難の業なんです。

当然、そんな作り方をしたら、いびつな芝居になりますから、不十分になっている部分は多々あります。全力で否定する人はいるはずです。いや、いなかったらおかしい。というか、あたしも単純に芝居目線で見ていたら、そういう評価を下すかも知れん。でもまぁ、わたしは長くサクラ大戦も見ている人間なので、今回のこの舞台ドリクラを見たときに、真っ先にこの広井さんの言葉が思い浮かびました。それはとりもなおさず「ものすごくキャラを大事にしているな」と感じられたので、むしろ感動したくらいなのです。どのくらい感動したかって、普段やらないのに、思わず演出の深寅さんにtwitterでmention送ってしまったくらいですよw

あと、もう1個だけ。最後のレビュウシーンは、ペンライトの使用がOKだったのですが(スクリーンにここから使用OKと表示された。初日はなかったらしいですね)、これは完全禁止で舞台ルールに沿って手拍子くらいでよかったんじゃないかなぁと思います。個人的にぱっとモード切り替えるのが苦手っていうのもあるんだけど、芝居目線で来てる人からすると、あのノリはとても抵抗感が強い人も多いですから。

出演者の方々、今回が初舞台という方もそれなりにいらして、正直まだまだこれからという部分も多々ありましたが、全体としてとても愛の感じられる舞台でした。

twitterでも書きましたが、終演後、公演DVDの予約に列ができていたことが、観客の偽りない感想であろうと思います。繰り返しになりますが、キャラもの芝居ってのは独特の世界で、普通の芝居と似ているようで、まったく違う方向を向いている部分もあります。願わくば初観劇だった人たちはこれが舞台への入り口となりますよう。本格芝居はまたまったく違う世界だけど、それも楽しいんだっぜ。

なんか、割と支離滅裂になってしまったけれども、大体そんな感じで!
(もしかしたら、補足したり、もう1本書いたりするかも知れないけど…)

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ミュージカル「幕末ガール(坊ちゃん劇場)」(12/8)に行ってきた。

また、広告が出てるぜ(FC2は1ヶ月記事がないと広告が出る仕様)。しばらく書いてないと、すぐに億劫になるのですよね…。いかんいかん。で、久々の記事はやっぱり観劇記事です。

ミュージカル「幕末ガール~ドクトルおイネ物語~」を観劇してきました。会場は「坊ちゃん劇場」。

さて、このブログをご覧いただいている中で、坊ちゃん劇場をご存知の方はどれくらいいるだろう。名前から想像がつくかもしれませんが、夏目漱石の「坊ちゃん」から名前をとっているミュージカル劇場で、愛媛県は東温市にあります(松山市の隣)。まぁ、ぶっちゃけ、松山刑務所のすぐそばだったりするんだがな(苦笑)。

この劇場の特徴は、四国にゆかりの人物・出来事をモデルとした作品を、約1年に渡ってロングラン上演をしていること。今回見てきた「幕末ガール」は、坊ちゃん劇場の7作目で、2012年4月から2013年3月の期間で上演されています。

席数は452といいますから、大体、紀伊國屋サザンシアターと同じくらいですね(468席)。常設劇場でロングラン公演をやっているだけあって、会場内で特筆すべきはその舞台装置と大道具。ステージは全体が船の中を模した作りになっているのですが、えらい高いところに袖との出入口があったり、客席の上部まで縄のような飾りが出ていたり(実はこれ電飾で、あるシーンでは光る)。また、1年間使うものだからでしょう、通常見るような舞台装置に比べると遥かにしっかり作られていることが、客席から見ているだけでもわかります。

この舞台装置、金井勇一郎さんがデザインしたものですが、それを見た脚本・演出の横内謙介さんが「これは、きっと現場から泣きが入ってくると、覚悟した」(横内謙介Diary 2012年3月29日)と思った代物です。リンク貼っておくので、興味のある方は是非、横内さんのブログ全文を読んでいただきたい。この舞台装置が、いろいろ規格外れであることがわかると思う。

さて、そろそろ内容に。この作品はシーボルトの娘で、日本初の産科女医となった「イネ」を中心に据えた作品です。

物語は、神戸から宇和島への最後の航海に出ている一隻の蒸気船から始まります。この船には老齢のイネとお供の三吉が乗っていて、あるトラブルが船上で発生する。それに対処するイネ、またそれに絡んで三吉の口から語られる若き日のイネの話。この2つの時間軸が入り混じりながら話は進んでいきます。ステージセットが船の中なのはそういうわけです。まぁ、客席も含めて船上なんですけどねw

細かいストーリーについては、これから見られる方もいるかも知れないので、このくらいにしておこうか(まぁ、予想外の展開を楽しむという系統の作品ではないので、語ってもそんなに問題ないでしょうけど)。でも、とても笑えて、とてもジーンときて、見終わって何か元気をもらえるような作品だったのはここに記しておきます。

キャスト陣はみなすばらしく、特に強烈だったのは、若きイネの五十嵐可絵さんと、二宮敬作の中山城治さん。可絵さんはわたしゃ「アトム」の新宿公演以来かな。あそこまで声量ある人だとは思っていなかった。歌いだして正直びっくりしました。中山さんは坊ちゃん劇場のベテランでやっぱり声量が半端ない。一幕の途中でこのふたりのデュオがあるのですが、もうぞくぞくしっぱなし。

老齢のイネの戸谷友さんも非常に味のある芝居をされていて…。時に凛々しく、時にかわいらしく、チャーミングなおばーちゃんを演じられておりました。ちなみに、この戸谷さん、実は高校の芸術鑑賞会で俺は見ていたりする(苦笑)。劇団民藝の「アンネの日記」だったのだがな、なぜか強烈に印象が残っているんだ。

そして、われらが扉座のガン平さんこと、三吉の岩本達郎さん。ある種、狂言回し的な立ち位置なんですが、まぁいい三枚目役です。台本にあるのかアドリブなのかわからないけど、ちょろちょろなんか変なことやってるんですよね(苦笑)。いつものガンちゃんで安心しましたw

というわけで、以下まとめ。

今回、これを観るのを主目的に愛媛まで遠征したわけですが、行ってよかったなと素直に思える作品でした。芝居が始まって、まず舞台装置にびっくりし、キャストの安定感に安心し、そして物語にほっとするという。正直、途中でどこにいるのかわからなくなったくらいで(苦笑)。

こう言ったら、地元の人が気を悪くするかも知れないけど、片田舎でこじんまりとやってるような芝居じゃないんだ。もう何もかもが。脚本・演出が横内健介、振付がラッキィ池田夫妻、舞台美術は金井勇一郎というスタッフ陣容見た時点でもうただ事じゃないですが、それだけじゃない、もう作品全体のクオリティが東京のど真ん中でやっても、間違いなく評判が取れる作品なのです。

まぁでも、題材が題材だし、地元でやってこそであろうとは思いますけどね。あと、450席の劇場で1年ロングランなんて、地方だからこそ成立するのかも知れません(コスト的な意味で)。だって「幕末ガール」って、3500円ですぜ、チケット代。わたしが見た土曜公演でも、客の入りは6割程度でしたし、東京だったら到底成立しないと思うもの(まぁ、東京でやったら、もっと客は入ると思うけど)。

客層もすごく面白かったです。たまたまなのかも知れませんが、非常に年齢層が高く、地域の落語会もかくやという感じでした。前の方にいらした方々はどうも常連さんらしく、カーテンコールの振りも皆さん綺麗に揃ってらっしゃいましたしw こうやって、地元の方々に愛されるのであれば、それはそれでいいことだなぁ。

でもねぇ、これ地元民に独占させるにはもったいない作品ですよ、本当に。さすがに、このためだけに四国まで行くにはどうかと思いますが(数万のチケットだと思うと、さすがに、ね)。でも、近くに行く用事があれば、多少の無理をしてでも、足を伸ばして欲しいと思う。絶対、損したとは思わないから。それで損したと思った人がいたら、俺がチケット代返すよ、ほんと(チケット代だけな!)。


■坊ちゃん劇場(公式ページ)

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ひぃす

Author:ひぃす
不惑に到達したナンチャッテSE職。日常や、アイマス・サクラ大戦・芝居・落語など、趣味のことを適当に書き綴ります。
twitter: heath_77

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