「舞台ドリームクラブ」(8/17 16時)に行ってきた。

アイマス関連の記事はちょっと置いておいて、先週末行われたドリクラ舞台の話です。

会場はラゾーナ川崎の5階にある「プラザソル」200席弱の小劇場として使えるスペースですな。6公演のうち、17日の16時の回に行ってきました。

まぁ、このブログ見てる人なら説明もいらないだろうけど…。「ドリームクラブ(DREAM(C)CLUB)」は、XBOX360版の初代から始まった、ピュアな紳士の社交場、ドリームクラブを舞台にしたギャルゲーのシリーズでございます。発売元はディースリー・パブリッシャー(以下D3P)。

このドリクラが舞台化という、ゲームを知ってる人であればあるほど「お前正気か!?」というような情報が飛び込んできたのが4月。「エイプリルフールから10日も遅れてるぞ、こやつめ」なんて言ってたのが懐かしい。

でだ。オーディションの情報はあったものの、ろくすっぽ中身に関する話が出てこず、断片的に関係者がブログやtwitterで発信する内容しかないような状況で、当日を迎えたわけで…。ただでさえ、うまく舞台化されるイメージができない作品なのに、情報がなく、どんだけ不安な気持ちで劇場に向かったのかはわかっていただけるかと思う。

実際に蓋を開けてみたところ…。うん、びっくりした。よくぞここまで作り上げたと素直に思う作品に仕上がっていました。

とにかく、キャラがしっかり作られていたのが印象的。ドリクラはポリゴンの3Dキャラなわけだけど、ゲームキャラの動きをトレースしているし、しゃべり方や声もキャラとして違和感のないものだった。正直、二次元コンテンツの舞台化作品を見て「再現度がすごい」と思ったのは、宝塚版の「逆転裁判」以来。

まず、開演前の時間帯に、ステージに置かれているソファにホストガールが出てきて、ゲーム内の接客シーンを再現するんだけど、それを見た瞬間に、「あ、これは思った以上にしっかり作ってきてるな」というのを感じました。相方たる主人公がいないので、演者のひとり芝居になるんだけど、ゲーム内のシーンがきちんと再現されてるのね。しかも途中からホストガールが酔っ払った曲に変わり、そっから酔っ払いモードの接客に変わるという…。言葉遣いがおかしくなり、ふらふら揺れてる様は「よくやるなぁ」と思ってしまったくらい。ただ、ドリクラといえば「酒」なのに、酒に関わる部分がこの部分しかなかったのは、ちょっと残念。

本編のストーリーは、ドリームクラブ30周年を記念して、ホストガール総出演のレビュウショウをやろうとオーナー(いつものあの人だ)が言い出し、それにまつわる話を主軸に同時進行で4つの話を描いたもの。

亜麻音・遙華を中心にしたレビュウショウのセンターに関する話、不調に陥ったアイリに関する話、魔璃とあすかに関する話、理保と妹の真琴に関する話の4つの話が、同時並行的に進んでいきます。ホストガールの全員を4つの話に割り振ってるんだけど、その組み合わせは「なるほど」と思わせるもので、キャラ設定とかシナリオとかよく読み込んでるなぁと。

最後にはすべての問題にケリがついて、全員集合してレビュウショウとなるわけですが、曲目はゲームからそのまま引っ張って来ていて(というか、BGMも基本ゲームから持ってきてるし)、「夢見るCaged Bird」「JEWEL」「Time traveler」「ココロのコトバ」「絶対アイドル☆宣言「Pure色100萬$☆」。で、カーテンコールならぬアンコール枠の「恋・KOI☆week end!」。

アンコールのときにさー、「アンコール!アンコール!」って声がステージから聞こえて来て、何かと思ったら、スミス&ウェッスン(遙華の護衛っつーかSP)がステージ上からアンコール煽ってんだよwww あれはなんつーか、とてもずるいものだった(というか、S&W自体が全体的にずるかったけど)。

というわけで、会場の狭さもあり、距離感はまさにキャバレーのショウという風情で、いろんな意味で「ドリームクラブ」を出現させることには成功したのではないかなと思います。

と、ここまでざっくりと素晴らしさについて説いたので、こっからは客観的な、というか芝居好きの目から見たどちらかというとネガティブな要素について、ざざっと書いていきます。

まず、公演についての情報提供。キャラもの芝居としては、かなりいい出来であったこの作品ですが、果たしてターゲットたる原作ゲームファンに情報が届いていただろうか。直近になってもお世辞にも盛り上がっているという雰囲気にはなっていなかったし、(公演主体ではなく、版権許諾を出している側とはいえ)D3Pからの情報提供も特になされなかったように思う。ゲネプロの記事は各ゲーム媒体に掲載されたけど、あれで初めて知ったとか「そういえば」と思い出した人も多かったんじゃないかなぁ。

実際、客席を見ると、積極的に情報提供をしていた出演者のファンだったり、出演者の関係者の方だったり、キャラもの芝居ではなく、出演者目当ての観客が中心であったように感じました。それ自体は小劇場演劇では極普通のことだけど、もっとゲームファンにリーチする方法があったんじゃないのかなというのは強く思います。ドリクラファンでも、どこぞのゲハブログのまとめ記事だけ目にしてるなんて、最悪の状況になってる人も多かったりしないかなーとちょっと心配。

次に、座席配置。凸型のステージで、その出っ張った部分を囲むように座席が置かれていました。この配置だとスステージ両脇の席の人間は、メインステージで行われることが目に入らない。出っ張り作るなら、せめて弧を描く形で席を配置しないと、ステージ上の至るところに死角ができてしまう(実際、ステージの端での演技はわたしゃ見るのあきらめておりましたし)。演劇の座席配置としては、ちょっとありえない形になっておりました。常に突き出した部分でやるキャバレーのショウであるなら、わかるんだけどね。

で、脚本。これはキャラもの芝居の評価とはアンヴィヴァレンツな部分があるので、あくまで、純粋に芝居の脚本として見たときの評価だということは理解しといてください。

2時間程度の芝居なのに4本の話が並行で進むのはちょっと多すぎるし、実際意味不明になってしまった部分とか、掘り下げが足りなかった部分があった。単に芝居の構成だけ考えるなら、ストーリーは亜麻音・遙華の話をメインに、理保・真琴の話をサブにして、がっつり掘り下げた人間劇にした方がいい芝居にはなる。

ただ、これについては、脚本家も演出家も百も承知でやっているはずです。キャラもの芝居の先駆者であるサクラ大戦について、広井王子氏が語った言葉でこんなのがある。

「主役が8人いる芝居を誰も作りたくない。全員に歌が均等にあって、ほぼ台詞も均等にあるぐらいの舞台って、本来舞台じゃない。芝居にはならないから、ありえないから。8人全員に気を使った演出って誰もやりたくない。全員を輝かせるって、それはお客さんのためなんだけど『お客さんのために』って言ってやれる演出家は少ない。どうしても演出家って自分の色が出るからトラブっちゃう。それを恐れて誰もサクラには触れたがらない」(Webラジオ「狼虎滅却サクラジヲ・こちら甲板通信局」第30回(2010年3月))

ギャルゲーってのは、本来プレイヤーが誰かをヒロインに決めて攻略しているタイプのゲームです。だからこそ、(メイン格のキャラはいたとしても)本来全員が並列の関係で全員が主役なんですな。んで、実際に各キャラにファンも付いていたりする。だからこそ、全部のキャラが主役の扱いでやらにゃいかんという話なんです。

今回のドリクラ舞台、この「すべてのキャラを主役に」ということが、愚直といってもいいレベルで貫かれています。芝居のテンポを多少悪くしてでも、また掘り下げ不足になる部分はあっても、それでもきちんと全員に見せ場を作り、作品としてまとめるということをやってきました。

だから、実際に公演を見た人なら、全キャラについて「ここが良かった」って言えると思います。そんな芝居、作るのは至難の業なんです。

当然、そんな作り方をしたら、いびつな芝居になりますから、不十分になっている部分は多々あります。全力で否定する人はいるはずです。いや、いなかったらおかしい。というか、あたしも単純に芝居目線で見ていたら、そういう評価を下すかも知れん。でもまぁ、わたしは長くサクラ大戦も見ている人間なので、今回のこの舞台ドリクラを見たときに、真っ先にこの広井さんの言葉が思い浮かびました。それはとりもなおさず「ものすごくキャラを大事にしているな」と感じられたので、むしろ感動したくらいなのです。どのくらい感動したかって、普段やらないのに、思わず演出の深寅さんにtwitterでmention送ってしまったくらいですよw

あと、もう1個だけ。最後のレビュウシーンは、ペンライトの使用がOKだったのですが(スクリーンにここから使用OKと表示された。初日はなかったらしいですね)、これは完全禁止で舞台ルールに沿って手拍子くらいでよかったんじゃないかなぁと思います。個人的にぱっとモード切り替えるのが苦手っていうのもあるんだけど、芝居目線で来てる人からすると、あのノリはとても抵抗感が強い人も多いですから。

出演者の方々、今回が初舞台という方もそれなりにいらして、正直まだまだこれからという部分も多々ありましたが、全体としてとても愛の感じられる舞台でした。

twitterでも書きましたが、終演後、公演DVDの予約に列ができていたことが、観客の偽りない感想であろうと思います。繰り返しになりますが、キャラもの芝居ってのは独特の世界で、普通の芝居と似ているようで、まったく違う方向を向いている部分もあります。願わくば初観劇だった人たちはこれが舞台への入り口となりますよう。本格芝居はまたまったく違う世界だけど、それも楽しいんだっぜ。

なんか、割と支離滅裂になってしまったけれども、大体そんな感じで!
(もしかしたら、補足したり、もう1本書いたりするかも知れないけど…)
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テーマ : 演劇・劇団
ジャンル : 学問・文化・芸術

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Author:ひぃす
不惑に到達したナンチャッテSE職。日常や、アイマス・サクラ大戦・芝居・落語など、趣味のことを適当に書き綴ります。
twitter: heath_77

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